柔らかさをプラスして。平甲丸の手作り結婚指輪
『甲丸と平打のそれぞれの良さを詰め込んで』
今回ご紹介するお客様は、手作りコースで結婚指輪をご製作されたお二人です。
お二人がご結婚指輪を作るにあたりこだわったのは、指輪のアーム部分の形状。
ずっと身につける結婚指輪だからこそ、つけ心地が良く、出来るだけスッキリとシンプルな形にしたい。そんなお二人のご要望から今回平甲丸型をベースとしたお二人だけの結婚指輪が完成いたしました。
「平甲丸」とパッと聞いても、形のイメージがいまいちピンとこない方もいらっしゃると思います。ズバリ甲丸と平打ちの中間のような穏やかなカーブ状の断面形状となる指輪のことを平甲丸と呼んでおり、甲丸の曲線的な柔らかな印象と平打ちの存在感あるシャープな雰囲気、それぞれの良いところを盛り込んだデザインです。
その他にも正面にねじりを効かせたメビウスデザインを取り入れたり、全体の仕上げにヘアラインをセレクトされたりと随所にお二人の「好き」を散りばめて。勿論ねじりの造形やヘアライン仕上げも全てお二人自身の手から生み出していただきます!
こうした細かな形のニュアンスや細部にわたるディティールにこだわって一から作り出すことができるのも、手作りならでは。お二人が納得するまでしっかりと向き合いながら、たった一つの結婚指輪を作り上げていただきました。
『エプロンに身を包み、指輪作りがスタート!』
まずは一本の金属の棒の状態からお二人の指輪作りがスタートいたします。
ガスバーナーを手に持って行うのは、「焼きなまし」という作業。
この工程を経て初めて材料を曲げたり丸めたりといった加工ができるようになるので、指輪作りにおいて火を使った作業は必要不可欠です。
お二人ともバーナーを持ちドキドキとした緊張感の中で、プラチナの色味が真っ赤に変化していく様子を真剣に見つめていらっしゃいましたね。
『苦労した作業も、お二人にとって大切な思い出に』
職人の説明を聞きながら、いよいよ材料を曲げて大まかな丸い形を作っていくのですが…
最初は思わず「折れたりしませんか!?」と案外手が止まってしまう方が多いこの作業。ぽきっと折れたりすることはございませんので、ご安心くださいませ◎
旦那様の真剣な横顔を奥様がすかさずパチリ。
「こんな感じかな?」とお互いの様子を確かめ合うご様子や二人で足並みを揃えて一つ一つの工程をしっかりと進めていく姿に、普段のお二人の関係性が表れているようで。とてもほっこりとした穏やかな気持ちにさせていただきました。
『アトリエに響く軽快なメロディ』
溶接をした指輪は、輪っかの形になったとはいえどまだまだ歪な形をしています。ここからは木製のハンマーと芯金(しんがね)と呼ばれる硬い鉄でできた棒を使い、今度こそ指輪らしい綺麗なまんまるの形へ。
トントントントン…と鈍く響く音が、回数を重ねるごとに徐々に甲高いカーン、カーン、、という音に変化していきます。音の変化と見た目の変化、二つの変わりゆく様子を楽しんでいただきながら指輪作りを進めていただきました。
『頑張って作業した時間に比例して』
前半は棒状の材料を曲げたり溶接したり、叩いたりと…パワーが求められる作業や形が大きく変化する工程が多いのが特徴でしたね。
形やサイズが合いましたら指輪作りも後半戦へ。後半はヤスリや研磨剤を使った磨きの作業が待っています。
前半とは異なり、もう形が大きく変わることはなくなります。が…後半の磨きにかけた時間の差によって、その分最終的な仕上がりの美しさには大きな変化が出てきます。一見すると地味な作業ではありますが、ここもしっかりと手を抜かずに頑張っていただくと、見た目の美しさだけではなく着け心地も格段に良い仕上がりの指輪になりますよ。
『職人さながらの佇まい』
最後は専用の機械を使って磨きの仕上げ作業へ。職人も普段から使用するこちらの道具ですが、お二人とも見事に使いこなしていましたね。
お二人の指輪の完成まであとわずか。どんどん綺麗に変化していく指輪に、ワクワクと期待が高まります!
『こだわりを詰め込んだ指輪の完成です』
長い時間にわたるご制作、大変お疲れ様でした!
メビウスデザインの立体的な立ち上がりが美しい、素敵なご結婚指輪が完成いたしました。またお二人がこだわったアーム部分はすっきりとした平打ちのベースでありながらも、角を優しく削り取った柔らかなシルエットにまとまりましたね。
『二人だけの小さな結婚式』
結婚指輪を作られたお二人へ、maroiオリジナルの似顔絵とドライフラワーブーケをプレゼントさせていただいております。
似顔絵はお二人のご希望だったドレスアップ仕様でお描きしております。またドライフラワーブーケはミモザを加え、春を意識したイエローカラーでおまとめいたしました。
これから共に歩んでいくお二人にとって、私達maroiがそして結婚指輪がかけがえのない一つとなりますように。
末永くお幸せに。
【制作サポート】
小椋 啓司
【似顔絵・ブーケ制作】
小椋 歩
完成した指輪